中学受験国語で厄介なのは、明らかに読めていない子よりも、「読めているように見えるのに点が取れない子」です。
本文の大まかな内容は追えています。
登場人物が誰かも分かっています。
説明文なら、何について書かれている文章かも一応つかめています。
それなのに、設問に入った途端に答えがずれます。
選択肢問題では惜しいところで外し、記述問題ではそれっぽいことは書いてあるのに点が入りません。この状態は、周りから見ると「あと少し」に見えやすいです。本人も考えてはいるので、つい「問題数を増やせばそのうち伸びる」と考えがちです。
しかし実際には、そう簡単ではありません。こういう子の多くは、文章そのものが全く読めていないのではなく、本文の中から答えの根拠を拾うところで止まっています。
近そうな部分を使う。
印象で補う。
設問が求めていることと少しずれたまま答える。
この状態が続くと、惜しい失点を何度も繰り返すことになります。
この記事では、中学受験国語で根拠が本文から拾えない子に見られる特徴と原因、そして点数につなげるために必要な考え方を解説します。
読めているように見えるのに点が取れない子の状態
根拠が本文から拾えない子は、文章全体を全く理解していないわけではありません。
たとえば物語文なら、
・誰が出てきたかは分かっている
・何が起きたかも大まかには言える
・場面の流れもある程度追えている
説明文でも、
・何について書かれているかはつかめている
・話題が途中でどう動いたかも何となく追えている
・設問で聞かれている箇所も一応は見つけられる
このくらいはできていることが多いです。だからこそ厄介です。全く分かっていないわけではないので、周りも本人も原因を見誤りやすくなります。
しかし、実際に解答させると、
・傍線部の近くにある文だけで答えようとする
・答えに使うべきではない部分を材料にする
・本文より自分の印象を優先する
という形になりやすいです。
その結果、「全然違うことを書いているわけではない」「何となく惜しい」という答案になります。ただ、設問に正確に答えられていないため、点数は伸びません。
根拠が拾えないいちばん大きな原因
いちばん大きい原因は、答えの材料をどこから取るべきかが分かっていないことです。中学受験国語では、本文のどこかにそれらしい言葉があれば答えになるわけではありません。大事なのは、設問が聞いていることに対して、本文のどの内容が本当に対応しているかです。
ところが根拠が拾えない子は、
・設問をざっくり読む
・本文の中で目についた部分を使う
・答えを書いたあとに本文とのずれを確認しない
という進め方になりがちです。
これでは本文を見返しているようで、実際には答えに必要な部分を選べていません。つまり問題は、「本文を見ていない」ことではありません。「本文のどこを答えの材料にすべきかが分かっていない」ことです。
このずれがあると、本人は本文を読んで考えているつもりでも、答えは少しずつ外れていきます。
傍線部の近くだけ見て答える子は失点しやすい
根拠が拾えない子にかなり多いのが、傍線部のすぐ前後だけで答えようとするタイプです。もちろん、傍線部の近くにヒントがあることは多いです。ただし、いつもそこだけを見れば答えられるわけではありません。
実際の入試問題では、
・少し前にある具体例が理由になっている
・少し後にあるまとめの文が答えの軸になっている
・離れたところの対比が意味を支えている
ということがよくあります。
たとえば理由を聞かれている問題で、傍線部の直後の説明だけ見て答えてしまい、その前に書かれていたきっかけを落とす子は非常に多いです。この場合、書いてある内容の一部は合っています。しかし、理由として必要な核が抜けているため点になりません。
選択肢問題でも同じです。傍線部の近くの内容には合っているが、文章全体の流れには合っていない選択肢に引っかかりやすくなります。
二択までは絞れているのに最後で外す子は、このタイプであることがよくあります。
本文ではなく印象で答える子は点が安定しない
根拠が拾えない子は、最後の判断を本文ではなく印象でしてしまうことがあります。
たとえば、
・この人物はかわいそうだからこう思ったはず
・この選択肢がいちばん自然に見える
・説明文の流れからたぶんこういうことだろう
という考え方です。
一見すると考えているように見えますが、これは本文に支えられた答えではありません。中学受験国語では、多少の感覚は必要です。ただし、安定して点を取るには感覚だけでは足りません。本文に書かれている内容に支えられていることが必要です。
たとえば「なぜ主人公は悲しくなったのですか」と聞かれているのに、悲しそうな場面の雰囲気だけをまとめて、本文に書かれていた具体的な理由を書けていない答案は典型です。
本人の中では筋が通っていても、本文に沿っていないため点が入りにくくなります。このタイプは、たまたま合うことはあります。しかし再現性が低いため、テストごとに点数がぶれやすいです。
設問が求めていることをつかめないと答えがずれる
根拠が拾えない子は、本文だけでなく設問の読み方にも課題があることがあります。
たとえば理由を聞かれているのに、
・出来事だけを書く
・気持ちだけを書く
・結果だけを書いて途中の説明がない
という答案になることがあります。
また、人物の変化を聞かれているのに、
・変化した後だけを書く
・変化前との違いが書けていない
ということもあります。
これは、本文の内容が全く分かっていないからではありません。設問が何を答えさせたいのかを押さえ切れていない状態です。つまり、根拠が拾えない問題は、本文の読み方だけの問題ではありません。設問と本文をどう結びつけるかの問題でもあります。ここが弱いと、本文から一応材料は拾っていても、設問に合わない答えになってしまいます。
「惜しいのに点が入らない」答案が多い子は、このずれを疑った方がいいです。
根拠が拾える子はどう解いているのか
根拠が拾える子は、何となく探しているわけではありません。
大まかには、次の流れで考えています。
・設問が何を聞いているかをはっきりさせる
・その問いに対応する本文の内容を探す
・本文の言葉をもとに答えを作る
・最後に設問にきちんと答えているか確認する
この流れがあると、近くの文だけに飛びついたり、印象で答えたりしにくくなります。
逆にこの流れがないと、本文を何度見ても答えの材料を拾い切れません。問題をたくさん解いても、同じような失点を繰り返しやすくなります。
中学受験国語で点数が安定する子は、特別なひらめきで解いているわけではありません。本文と設問のつながりを丁寧に確認しながら解いています。
なぜ家庭で見ても原因が分かりにくいのか
根拠が拾えない状態は、家庭学習ではかなり見えにくいです。理由は単純で、表面上は惜しく見えるからです。
たとえば、
・正解に近いことは書いてある
・選択肢も最後の二つまでは絞れている
・本人も一応は考えている
という状態だと、「あと少しでできそう」に見えます。
しかし実際には、
・どこを根拠にしたのか
・なぜそこを選んだのか
・設問の条件をどう読んだのか
を確認しないと、本当の原因は見えてきません。
丸つけだけで終わったり、解説を読んで納得しただけで次に進んだりすると、似た失点を何度も繰り返しやすいです。つまり、根拠が拾えない子に必要なのは問題数の追加ではありません。答えに至るまでの見方を確認することです。
ここを見ずに「もっと読もう」「もっと解こう」としても、国語は伸びにくいです。
同じ失点に見えても直す場所は子どもによって違う
国語で怖いのは、同じように点が取れていない子でも、原因が全く同じとは限らないことです。
たとえば、
・近くの文に飛びついてずれる子
・印象で選んでずれる子
・設問の条件を落としてずれる子
・記述で必要な要素が抜けてずれる子
では、直すべき場所が違います。
見た目だけなら、どの子も「惜しい答案」に見えるかもしれません。しかし中身はかなり違います。ここを見分けないまま、一律に同じ復習をしても改善しにくいです。だから「ちゃんと考えているのに伸びない」ということが起こります。
このテーマで本当に大事なのは、点数そのものよりも、どういうずれ方をしているかを見ることです。どこでずれているかが見えれば、手の入れ方も変わります。
個別指導で見ているポイント
個別指導では、正解か不正解かだけを見ているわけではありません。
特に確認するのは次のような点です。
・どこを根拠として見たのか
・なぜそこを答えの材料だと思ったのか
・本文の言葉をどう使おうとしたのか
・設問に合う形で答えを作れているか
ここを見ていくと、同じように点が取れていない子でも、つまずいている場所がかなり違うことが分かります。
国語は、ただ問題を増やすだけでは伸びにくい科目です。惜しい失点が続く子ほど、「どこが違ったのか」よりも「どう考えてそこに行ったのか」を見ないと改善しにくいです。だからこそ、本文と設問のつながりのどこで止まっているのかを細かく確認することが大切です。
中学受験国語でお悩みの方へ
私は、10年以上にわたり中学受験国語を指導してきました。以前は大手学習塾で国語専門講師として1000人以上の生徒を見てきました。そこで正しい教え方を徹底的に学び、指導の土台を作ってきました。
その中で強く感じてきたのは、国語は同じ点数帯でも、子どもによってつまずいている場所が大きく違うということです。現在はオンライン個別指導・家庭教師として、答案を見ながら課題を確認し、集団塾との併用を前提に指導しています。
・国語だけ成績が安定しない
・どこで失点しているのか分からない
・記述や選択肢問題を強化したい
・国語を得意科目として伸ばしたい
このような方はご相談ください。
まとめ
中学受験国語で根拠が本文から拾えない子は、読解力そのものが足りないというより、答えの作り方がずれて失点していることが多いです。
特に多いのは、
・傍線部の近くばかり見て答える
・本文ではなく印象で答える
・設問が求めていることと少しずれる
という形です。
この状態は、問題数を増やすだけでは直りにくいです。惜しい答案に見えるぶん、原因を見誤りやすいからです。
大切なのは、
・設問が何を聞いているかを押さえる
・その問いに対応する本文の内容を見つける
・本文に沿って答えを作る
・最後に設問に合っているか確認する
という流れを身につけることです。
国語は、同じように見える失点でも原因がかなり違います。根拠が拾えないまま止まっている子は、読めていない子ではなく、答え方のずれで失点している子であることが少なくありません。
だからこそ、どこで答えがずれているのかを見極めながら直していくことが重要です。
中学受験国語についての記事すべてを見たい方は、以下のページをご覧ください。
悩み別・テーマ別に記事をまとめています。
中学受験国語の記事一覧を見る
