中学受験の物語文でよくあるのが、その場の気持ちは何となく読めているのに、気持ちの変化になると急に外す子です。
本文について聞くと、
・この場面では嫌そうだった
・ここでは驚いていた
・最後は少し前向きになった
このくらいは言えます。
それなのに答案になると、
・最初は反発していたのに、後半で相手の気持ちに気づいた場面を読めず、最後まで「嫌っている」と判断する
・直前の一文だけ見て「悲しい」と答えるが、少し前の会話まで読むと中心は「悔しさ」や「気まずさ」である
・笑った場面だけ見て安心したと選ぶが、実際はごまかし笑いで不安は消えていない
といった外し方をします。
このタイプの子は、気持ちが全く読めていないわけではありません。止まっているのは、気持ちそのものではなく、気持ちの変化です。
物語文では、人物が最初から最後まで同じ気持ちでいることは多くありません。出来事や会話を通して、見方が変わり、感情も動いていきます。この変化を追えないと、その場の言葉だけ見れば合っているような答案になるのに、問題としてはずれる、という失点が増えやすくなります。
この記事では、中学受験国語で心情変化が追えずに読み違える子の特徴と、得点につながる読み方の違いを解説します。
心情問題が苦手な子は気持ちが読めないのではなく変化を追えていない
心情問題が苦手な子というと、気持ちそのものが分からない子だと思われがちです。でも実際には、一つひとつの場面だけならそれなりに読めていることが少なくありません。
たとえば、
・この場面では嫌だった
・ここでは驚いた
・この一言で傷ついた
という局所的な理解はあります。
ただ、その気持ちが
・何をきっかけに動いたのか
・前と後でどう変わったのか
・表に出た態度と本音が同じなのか違うのか
まで追えていないことが多いです。
そのため、
・途中で理解や納得に変わっているのに、最初の反発の印象を引きずる
・悲しそうに見えるが、中心は悲しみではなく悔しさなのに外す
・最後は明るく振る舞っているが、不安や遠慮が残っていることを読めない
といった外し方をします。
つまり、心情問題が苦手な子は、感情語を知らないのではありません。気持ちの移り変わりを一本の線として読めていないのです。
その場の言葉や態度だけで気持ちを決めると読み違えやすい
心情変化が追えない子にかなり多いのが、その場の言葉や態度だけで気持ちを決める読み方です。
たとえば、
・強い言い方をしているから怒っている
・黙っているから悲しんでいる
・笑ったから安心している
という判断です。
でも物語文では、表に出る言葉や態度と、本当の気持ちが一致しないことがよくあります。
たとえば、
・強く言い返しているが、本当は傷ついている
・笑っているが、気まずさをごまかしている
・黙っているが、悲しいというより戸惑っている
ということがあります。
ここを読めないと、
・言い方だけ見て「怒り」と決める
・表情だけ見て「安心」と決める
・その場の一文だけで心情を断定する
という答案になりやすいです。
特に選択肢問題では、表面だけ見れば合っていそうな選択肢がよく出ます。そのため、その場の言葉や態度だけで判断する子は、最後の二択でかなり負けやすいです。
最初の印象を引きずる子は後半の変化を読めない
物語文で心情変化を外す子は、最初の印象をかなり強く引きずります。
たとえば、
・最初に反発していた
・最初に冷たい態度だった
・最初に不満そうだった
となると、その印象のまま最後まで読みがちです。
しかし実際の物語では、
・最初は反発していたが、相手の事情を知って理解に変わる
・最初は距離を取っていたが、途中で信頼に変わる
・最初は不安だったが、最後は覚悟に変わる
という変化がよくあります。
それなのに印象を引きずる子は、
・後半の小さな変化を軽く読む
・気持ちの向きが変わるきっかけを見逃す
・最初の人物像のまま判断し続ける
という状態になります。
その結果、
・最後は分かり合っているのに、最後まで嫌っていると読む
・不安から前向きに変わっているのに、ずっと消極的だと判断する
・やわらいだ関係を読めず、前半の対立だけを答える
といった失点になります。
心情変化を追うには、最初の印象を持つことより、その印象が途中で変わったかどうかを見ることの方が重要です。
気持ちが動いたきっかけを押さえないと答案が浅くなる
心情は、理由なく変わるわけではありません。必ず、変化のきっかけになる出来事があります。
たとえば、
・友達に言われた一言
・相手の意外な行動
・失敗や成功の体験
・以前とは違う見え方になった瞬間
こうした出来事が、人物の気持ちを動かします。
ところが心情変化が追えない子は、このきっかけを軽く読みがちです。
そのため、
・変わったあとの気持ちだけを書く
・なぜそう変わったのかを書けない
・変化の方向は何となく合っているが浅い答案になる
ということが起きます。
たとえば、最初は相手に反発していた子が、相手の本音を知って見方を変える場面があったとします。このとき、最後のやわらいだ態度だけ見て「仲直りしたから」と書く子は多いです。でも本当に必要なのは、相手の本音を知ったことで見方が変わった、という変化の理由です。ここが抜けると、答えとしてはかなり浅くなります。
心情問題は一場面の当てものではなく流れの中で判断する問題である
心情問題を苦手にする子は、心情問題を「その場面の気持ちを当てる問題」だと思いやすいです。
でも実際には、多くの心情問題は
・それまでの出来事
・人物関係
・場面の変化
・最後の行動や態度
まで含めて判断する必要があります。
つまり心情問題は、一場面の理解だけではなく、文章全体の流れの中で人物をどう捉えるかが問われています。
だから、
・直前の一文だけで答える
・印象的な言葉だけで決める
・その場の雰囲気で判断する
という読み方では、惜しい失点が増えやすくなります。
物語文の心情問題は、気持ちの名前を当てる問題ではありません。その気持ちがどう動いてきたかを読む問題です。
家庭学習ではこの読み違いがかなり見抜きにくい
心情変化を追えない子は、家庭学習ではかなり見抜きにくいです。
なぜなら、
・場面の説明はできる
・気持ちも何となく言える
・大外しの答えではない
・惜しい答案に見える
からです。
そのため、「だいたい読めている」「あと少しで合いそう」「気持ちは分かっているのに惜しい」と見えやすくなります。
しかし実際には、
・最初の印象を引きずっている
・変化のきっかけを軽く読んでいる
・その場の態度だけで判断している
・流れの中で心情を見ていない
ということがあります。
ここを見ないまま、
・もっと丁寧に読みなさい
・人物の気持ちを考えなさい
・問題数を増やしなさい
だけで進めても、同じ失点を繰り返しやすいです。
心情問題が苦手な子は、気持ちが全く分からないわけではないことが多いです。だからこそ、どこで変化を見落としているのかまで見ないと原因を外しやすくなります。
個別指導で見ているのはどの場面を根拠にしたかと変化の筋道を追えているか
個別指導では、正解か不正解かだけではなく、
・どの場面を根拠にしたのか
・その前後まで見ているか
・変化のきっかけを押さえているか
・前と後をつなげて読めているか
を確認します。
心情変化が追えていない子は、
・理由を聞くとその場の言葉しか挙げられない
・別の場面を示すと判断が揺れる
・似た形式だと何度も同じ外し方をする
という状態になりやすいです。
逆に、変化の流れを見ながら読めるようになると、
・選択肢問題の比較が安定する
・記述で変化の理由まで書ける
・形式が変わっても対応しやすくなる
といった変化が出やすいです。
物語文の得点力は、気持ちを何となく言えるかではなく、どのように変わったかを根拠つきで読めるかで大きく変わります。
中学受験国語でお悩みの方へ
私は、10年以上にわたり受験国語を指導してきました。以前は大手学習塾で国語専門講師として1000人以上の生徒を見てきました。そこで正しい教え方を徹底的に学び、指導の土台を作ってきました。
その中で強く感じてきたのは、国語は同じ点数帯でも、子どもによってつまずいている場所が大きく違うということです。現在はオンライン個別指導・家庭教師として、答案を見ながら課題を確認し、集団塾との併用を前提に指導しています。
・国語だけ成績が安定しない
・どこで失点しているのか分からない
・物語文の読み取りを強化したい
・国語を得意科目として伸ばしたい
このような方はご相談ください。
まとめ
中学受験の物語文で心情変化が追えない子は、気持ちそのものが読めないのではなく、気持ちの動きを追えていないことが多いです。
特に多いのは、
・その場の言葉や態度だけで気持ちを決める
・最初の印象を引きずる
・変化のきっかけになる出来事を軽く読む
・一場面だけで心情を判断する
といった読み方です。
この読み方では、その場の気持ちは何となく合っていても、選択肢問題や記述問題で惜しい失点が増えやすくなります。
物語文の心情問題で大事なのは、一場面の気持ちを当てることではありません。
・何をきっかけに
・どう変わり
・最後にどこへ向かったのか
を流れの中で読むことです。
心情問題が苦手な子は、気持ちを読む力がないのではなく、変化を追うところで止まっているのかもしれません。そこを直せると、物語文の得点はかなり安定しやすくなります。
中学受験国語についての記事すべてを見たい方は、以下のページをご覧ください。
悩み別・テーマ別に記事をまとめています。
中学受験国語の記事一覧を見る
