中学受験の国語では、「本文に線を引きながら読みましょう」と言われることが少なくありません。
実際、
・大事そうなところに線を引く
・心情だと思った文に印をつける
・説明文の要点らしき文にマークする
といった勉強をしている子はかなり多いです。
ただ、ここははっきり言っておきたいです。本文に線を引くこと自体は、国語の点数を上げる決め手にはなりません。むしろ、この勉強法が国語を伸びにくくしている子はかなりいます。なぜなら、国語で大事なのは「大事そうな文を目で追うこと」ではなく、「設問に対して、どこを根拠にしてどう答えるか」だからです。
線を引く勉強法が強くなると、
・目立つ文を拾う
・線を引いたことで読めた気になる
・設問ではなく本文の見た目に反応する
・作業は増えるのに得点につながらない
ということが起きやすくなります。
この記事では、中学受験国語で本文に線を引く勉強法が逆効果になりやすい理由と、得点につながる読み方との違いを解説します。
線を引く子ほど本文ではなく目立つ文を追いやすい
線を引く勉強法で最初に起こりやすいのは、本文の中で「大事そうに見える文」を追う癖が強くなることです。
たとえば、
・気持ちが書いてありそうな文
・説明が長い文
・何となく強い言い方の文
・先生が前に大事だと言っていた形の文
こういうところに線を引いていきます。
でも、国語の根拠は「目立つ文」とは限りません。
実際の問題では、
・短い結論文が根拠になる
・対比の片側だけが重要になる
・少し前後の一文とセットで意味が決まる
・目立たない一文が設問条件にぴったり対応する
ということがよくあります。
それなのに線を引く癖が強い子は、設問に関係するかどうかより、大事そうに見えるかどうかで文を拾いやすくなります。
その結果、
・線はたくさん引いている
・でも答えの根拠は拾えていない
・本文は読んでいるつもり
・答案は少しずれる
という状態になりやすいです。
線を引くことが目的になると設問を見る力が弱くなる
国語で点が取れる子は、最初に「この設問は何を聞いているのか」を強く意識します。一方で、線を引く勉強法が中心になると、意識が設問ではなく本文に向きやすくなります。
つまり、
・何を答える問題なのか
よりも
・どこに線を引くか
に頭が向きやすくなるということです。
このズレはかなり大きいです。
たとえば、
・理由を聞かれているのに心情っぽい文に線を引く
・要旨を聞かれているのに具体例に線を引く
・段落の役割を問われているのに内容説明の文に線を引く
ということが起こります。
本人は本文をちゃんと見ています。でも、設問に答えるための見方にはなっていません。国語は、本文を読む前に設問があり、設問に答えるために本文を読む科目です。ここが逆になると、作業は増えるのに得点にはつながりにくくなります。
線を引いたことで読めた気になりやすいのが危ない
本文に線を引く勉強法の厄介なところは、やった感が出やすいことです。
・線をたくさん引いている
・ページがにぎやかになっている
・本人も何かやった気になる
・保護者から見ても勉強しているように見える
これはかなり危ないです。
なぜなら、国語で本当に大事なのは「手を動かした量」ではなく「根拠を選んだ精度」だからです。
線を引く子ほど、
・本文はよく見ている
・でもどこが答えの根拠かは曖昧
・選択肢比較は雑
・記述では必要な要素が抜ける
ということが起きやすいです。
特に多いのは、説明文で長い具体例に何本も線を引いているのに、筆者の短い結論文には反応できていないケースです。また物語文でも、気持ちが強く出ている文に線は引くのに、その気持ちになった理由や前提の出来事までは見ていないことがあります。
つまり、線を引くことは「読めた証拠」ではありません。ここを取り違えると、かなり危険です。
線を引く勉強法は作業を増やすのに思考を深くしないことがある
線を引く読み方は、丁寧に見えます。でも、丁寧に見えることと、得点につながることは別です。
実際には、
・読む
・考える
・比べる
・答える
より前に、
・どこに線を引くか
・何色で引くか
・どこまで引くか
という作業が入ります。
これが積み重なると、読むことより作業に意識が向きます。
その結果、
・線は引いているのに比較が甘い
・線は引いているのに設問条件を外す
・線は引いているのに要点を落とす
ということが起きます。
特に時間制限がある模試や本番では、作業量が増える勉強法はかなり不利です。中学受験国語で必要なのは、本文に反応する速さではなく、答えに必要な部分を選ぶ精度です。そこに直接つながらない作業が増えると、見た目ほど効率は良くありません。
接続語ばかりにマークする読み方も得点にはつながりにくい
本文に線を引く勉強法と同じで、接続語ばかりに印をつける読み方も、国語の点数を上げる決め手にはなりません。
たしかに、
・しかし
・だから
・たとえば
・つまり
・一方で
といった接続語は、文章の流れをつかむ手がかりにはなります。
ただ、それ自体に機械的に印をつけても、得点には直結しにくいです。なぜなら、大事なのは接続語そのものではなく、接続語を境にして「何がどう変わったか」だからです。
それなのに接続語ばかりにマークする読み方が強くなると、
・接続語を見つけたことで分かった気になる
・前後の内容を比べずに流れを判断する
・設問に必要な根拠ではなく、目立つ合図ばかり追う
・接続語に反応する作業が増えて思考が浅くなる
といったことが起きやすくなります。
実際には、「しかし」があっても前を全部否定しているとは限りませんし、「たとえば」があってもその具体例自体が答えになるとは限りません。
必要なのは、接続語に印をつけることではなく、その前後で
・筆者の立場がどう動いたのか
・話題が変わったのか
・対比になっているのか
・結論と具体例のどちらが置かれているのか
を読むことです。
接続語ばかりにマークする読み方も、本文に線を引きまくる読み方と同じで、作業は増えるのに得点にはつながりにくい勉強法です。
点が伸びる子は線ではなく設問と根拠の対応を見ている
点が伸びる子は、本文に線を引くことよりも、設問と根拠の対応を見ています。
たとえば、
・この問題は理由を聞いている
・なら理由の核になる一文が必要
・この問題は要点を聞いている
・なら具体例ではなく中心を拾う
という見方です。
この子たちは、本文の全部に反応していません。
むしろ、
・何を探すべきか
・どこまで見れば足りるか
・どの文は材料でどの文が中心か
を考えています。
だから、
・必要のない文に引っ張られにくい
・選択肢比較がしやすい
・記述で入れるべき要素を外しにくい
という強さが出ます。
たとえば説明文なら、長い具体例ではなく、短い結論文を根拠として使います。物語文でも、気持ちが強く表れた一文だけではなく、その理由になる前後の出来事まで含めて見ます。線を引くかどうかは本質ではありません。
本質は、設問に対してどの根拠を選び、どう答えにつなげるかです。ここができている子は、本文がきれいに線だらけでなくても点が取れます。逆にここができていない子は、どれだけ線を引いても点は安定しません。
保護者から見ると頑張って見えるのに点にならないのがこの勉強法のやっかいさ
本文に線を引く子は、保護者から見るとかなり頑張っているように見えます。
・本文に手を入れている
・しっかり考えていそう
・読み飛ばしていなさそう
・真面目に取り組んでいる感じがある
だから、「ちゃんとやっているのに伸びない」と感じやすくなります。
でも実際には、止まっている場所は別です。
本当に見ないといけないのは、
・どこを根拠として見たか
・なぜそこを選んだか
・設問に合う形で答えられているか
・線を引いた文が本当に必要だったか
です。
ここを見ないまま、
・もっと丁寧に読みなさい
・もっと線を引きなさい
・大事なところをちゃんと見なさい
と重ねても、改善しにくいです。
この勉強法がやっかいなのは、努力しているように見えるぶん、どこで点にならなくなっているかが隠れやすいことです。
個別指導で見ているのは線の量ではなく根拠の選び方
個別指導では、どれだけ線を引いたかはほとんど見ていません。
見るのは、
・どこを根拠にしたか
・なぜそこを答えに使ったか
・設問条件に合っているか
・必要な文と不要な文を分けられているか
です。
実際には、
・線をたくさん引いているのに根拠を外す子
・線はほとんど引かないのに答えが安定する子
の両方がいます。
この差は、真面目さの差ではありません。根拠の見方の差です。
国語の得点力は、本文をどれだけ加工したかではなく、どこをどう使って答えたかで決まります。だからこそ、線を引くかどうかではなく、設問と根拠の対応をどう作っているかを見る必要があります。
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まとめ
中学受験国語で本文に線を引く勉強法は、一見すると丁寧で真面目な勉強に見えます。しかし、それが得点につながるとは限りません。
むしろ、
・目立つ文を追いやすくなる
・設問より本文に意識が向く
・線を引いたことで読めた気になる
・作業が増えるのに思考は深くならない
といった形で、逆効果になることがあります。
また、接続語ばかりに機械的に印をつける読み方も同じです。大事なのは接続語そのものではなく、その前後で何がどう変わったかを読むことです。国語で点が伸びる子は、線をたくさん引く子ではありません。設問に対して、どこを根拠にし、何を答えに入れるべきかを見ている子です。
本文に線を引くことより大事なのは、設問と根拠の対応を作ることです。見た目の頑張りではなく、どこで点にならなくなっているのかを見ないと、国語は伸びにくいです。限られた時間の中で国語を伸ばすなら、作業中心の勉強法ではなく、得点につながる思考の流れを作る方がずっと重要です。
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